【プラズマ効果事例】サステナブルプラスチックへの適用

サステナブルプラスチックへの適用

1.はじめに

プラスチックは耐水性・耐薬品性・耐候性に優れた材料であり、軽量で加工性も良く天然素材と比べて品質も安定していて安価であることから様々な分野で広く使用されてきた。

しかし一方でプラスチックは石油を原料としており、製造や焼却の過程で二酸化炭素(CO2)を排出し温暖化の一因となることが指摘されている。また自然環境下で分解しにくく、野生生物の誤飲やマイクロプラスチック問題など様々な環境問題も提起されている。

そこで近年注目されているのがサステナブルプラスチックである。これはトウモロコシなどのバイオマス由来原料を使用、またはそれらを混合して作られる樹脂材料である。植物は成長過程でCO2を吸収するため、材料全体としてCO2の排出量を減らすことが可能であり、温室効果ガスの低減につながる。

また植物原料を混合することで樹脂全体の軽量化が可能となり、プラスチックの使用量・廃棄量を削減することで環境負荷の低減が期待されている。特に間伐材を利用すれば廃棄物の更なる有効活用にもつながるため、樹脂材料を大量に使用する製造業ではカーボンニュートラルの観点からも大きなメリットが期待できる。

実際、当社への評価依頼でもサステナブルプラスチックの持ち込みは増加しており、産業界における関心の高まりがうかがえる。

そこで本稿ではTough Plasmaによる表面処理がサステナブルプラスチックの密着力向上にどのような効果をもたらすかについて、ポリプラスチックス社との評価結果を基に紹介する。

2.サステナブルプラスチックの主要課題

環境面で大きな利点を持つサステナブルプラスチックも従来のプラスチック同様に接着性・密着性に大きな課題を抱えているが、【3ステップで分かる】プラズマ処理による親水化メカニズムで述べたように大気圧プラズマ処理で接着剤や塗装の密着力を向上させることが可能である。

当社の大気圧プラズマ装置「Tough Plasma」は窒素とドライエアおよび電源のみで表面改質が可能であり化学物質や可燃性ガスを使用しない。更に最新機種のATOMでは窒素も不要となったため、環境負荷の低い表面処理が可能である。

下図はポリプロピレン(PP)を長繊維セルロースで強化した樹脂にプラズマ処理した際の接触角の変化を示した図である。プラズマ処理により親水性が大きく向上していることが確認できる。

セルロース繊維強化PPの親水化

セルロース繊維強化PPの親水化

3.プラズマ処理の効果

上に示したグラフはセルロース繊維強化PPをエポキシ系接着剤で接着し、プラズマ処理前後の接着強度を比較した結果である。難接着性材料であるPPにセルロースを混合させた複合材であっても、プラズマ処理により接着強度が大幅に向上することが確認できる。

また破断面の写真を見てもプラズマ処理前は基材と接着剤間の界面剥離であったものが、プラズマ処理後では接着剤層の凝集破壊へと移行し密着力が向上していることが分かる。

4.まとめ

サステナブルプラスチックは環境負荷低減の観点から様々な分野への導入が期待される素材であるが、加工時の密着性の低さが大きな課題となっている。本稿で示したとおり、Tough Plasma による表面処理はサステナブルプラスチックに対しても接着強度を大きく改善し、製品の軽量化やカーボンニュートラルへの取り組みに寄与する技術である。

より詳細な評価結果は以下のPlabaseの記事に掲載しているため、参考としていただきたい。https://plabase.com/news/10309

当社ではお客様の要望をお聞きし、最適なプラズマ処理条件を提案する評価デモを初回無償にて実施している。接着やコーティングの密着強度向上でお困りの方はぜひお気軽にお問合せいただきたい。