【プラズマ効果事例】静電チャックの表面洗浄への適用
1.はじめに
静電チャック(Electrostatic Chuck)は、半導体製造装置内においてウェハを静電力により吸着・固定するための重要な部品である。内部電極に電圧を印加することで静電力が生じ、ウェハを非接触に近い形で保持できるため、物理的なダメージが極めて少ない。
また真空中においても安定した吸着力を維持できる点や、ヘリウムガスを用いた冷却機構によってウェハ温度を高精度に制御し、試料の歪みを抑えることができる特徴から、主にエッチング・CVD・PVDなどのプロセスで不可欠な要素技術となっている。
本稿では静電チャック洗浄プロセスの時間短縮、安全性向上、コスト削減を実現する手段として、大気圧プラズマ装置「Tough Plasma」導入のメリットについて紹介する。
2.静電チャックの表面洗浄への主要課題
静電チャックは高い吸着力と試料ダメージの少なさに優れた装置であるが、ウェハを繰り返し吸着することで徐々に表面に汚れが付着し、以下の問題が発生する。
- 吸着力の低下
- 温度制御不良
- ウェハの汚染
この汚れは主にウェハ裏面に付着したレジスト残渣由来であり、エタノールやIPA、フッ酸などの溶剤と超音波洗浄の組み合わせにより洗浄されるが、溶液の購入・管理・廃棄に多大な費用が掛かることに加えて洗浄槽が占有する面積も課題となっている。
また半導体製造はnmレベルの精度が要求される工程であり、吸着力の低下や温度制御不良は品質に重大な影響を与えるため、頻繁に洗浄されることも上記のコストを増加させる一因となっている。
これらの背景から、洗浄工程のウェットプロセスからドライプロセスへの変更を目的として大気圧プラズマ処理による評価テストを実施した結果、良好な洗浄効果が確認されたため以下で紹介する。
3.プラズマ処理の効果
上図は汚染された静電チャックに大気圧プラズマを照射した結果である。静電チャックに堆積した黒色の付着物にプラズマを照射した結果、目視で明確な差が確認された。
大気圧プラズマで洗浄するメリットとしては
- 真空設備が不要で導入が容易
- 有機汚染物を分解、揮発させるため二次汚染が少ない
- 材料ダメージが少ない
- 微細な凹凸にもガスが入り込み高い洗浄効果を示す
などが挙げられる。
4.まとめ
Tough Plasmaによる静電チャック洗浄は表面に堆積した有機物汚染をドライプロセスで安全かつ効果的に除去するのに有効な手段であり、半導体製造工程のコストダウン、ライン長の削減、洗浄工程短縮が期待できる。
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