【プラズマ効果事例】FIPG塗布前処理への適用
1.はじめに
FIPG(Formed In Place Gasket)は液状ガスケットとも呼ばれ、液体状のシール剤を塗布し、その場で硬化させて密封する技術である。複雑形状への対応力や高い信頼性、自動化が容易である等のメリットから様々な業界で使用されている技術である。
密封する手段としては従来、Oリングなどの固形ガスケットが主に使用されていたが、作製には金型が必要であり、製品の形状変更に伴い金型の変更も必要となる。またOリングは線接触で密封の面積が狭く、製品の傷や封止面の歪みによりシール性が低下する問題を抱えていた。
一方、FIPG塗布はロボットティーチングの変更により形状変更が容易であり、複雑形状にも対応可能で自動化工程となり人件費も削減できることから、現在では自動車、産業機械、電気・電子、家電、航空宇宙、医療業界など様々な業界で導入が進められている。
そこで本稿ではTough Plasmaの表面処理効果によるFIPGの密着力向上の事例について紹介する。
2.FIPG塗布前処理の主要課題
FIPGが抱える最も大きな課題は密着性の確保である。密着不足の原因は形状、工程、材料の3種に大別され、主な要因は下記の通りである。
- 形状
- 工程
- 材料
接着面積不足、表面粗さのばらつき、内圧の集中
塗布量の過不足、ビード切れ、締結トルクのばらつき、硬化時間不足
材質、表面汚れ、熱膨張係数、シーリング材との相性
形状と工程は設計段階で条件を最適化すれば改善は可能であるが、材料起因の不具合は種々の要因が複雑に絡み合うため完璧に対応することは難しい。
また表面汚れを除去するために自動機による洗浄を実施する場合は複数の槽で繰り返し洗浄する必要がある。これは溶剤の購入、管理、廃棄に多大な費用が発生し、ライン長も長くなる課題を抱えている。自動機による洗浄に加えて人の手による洗浄を実施する場合は作業ばらつきや人件費の問題も発生する。
これらの課題を解決するために最も有効で評価・導入の依頼が増えているのが大気圧プラズマによる表面処理である。
3.プラズマ処理の効果
上図はADC12に対して一液常温硬化型シリコーン系のFIPGを用いてプラズマ処理前後の引張せん断接着強度を測定した結果である。プラズマ処理により接着強度が劇的に向上することが確認できる。
表面に油分が残存していても少量であれば大気圧プラズマの持つクリーニング効果により除去されるが、過度の油分残渣となると処理時間が長くなることもあるため、簡易洗浄後の仕上げ工程としての適用が望ましい。
また大気圧プラズマはクリーニングと表面改質の2つの効果があり、溶剤洗浄だけでは実現できない水素結合による接着強度向上を可能にする。
4.まとめ
Tough Plasmaによる表面処理はFIPGの密着力向上を実現し、製品品質の向上に寄与する。また洗浄工程の自動化や洗浄剤使用量の削減などコスト面でも大きなメリットがあり、品質・コスト・安全面で多くの利点を提供する。
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