【プラズマ効果事例】溶接前洗浄への適用

溶接前洗浄への適用

1.はじめに

溶接は金属材料同士を溶融させて接合する技術であり、古くは紀元前から現代に至るまで、武器や生活用品から始まり、建設、自動車、鉄道、造船に至るまであらゆる製造現場で使用されてきた技術である。

アーク溶接、レーザー溶接、抵抗溶接など様々な手法があり、メリットとして高い接合強度、気密性、水密性などが挙げられる。ボルトや接着剤を使わないため部品点数や作業工程の簡略化および製品の軽量化が可能であり、その高い接合強度から建築物や航空機、自動車などの大型製品に多用される。

以前は手作業が主流だった溶接作業もロボットによる自動化が進んでおり、溶接品質も向上しているが、それでも種々の要因で溶接不良は完全には排除できていない。

そこで本稿ではTough Plasmaの洗浄効果による溶接スパッタ低減の事例について紹介する。

2.溶接工程の主要課題

溶接事例

溶接は高い接合強度を有するが故に、高温による歪みやクラック、ブローホール、ピットなどの欠陥が発生すると強度が大幅に低下してしまう。そのため、溶接工程や溶接環境および母材の適切な管理が不可欠である。

溶接不良の原因は 不適切な溶接条件・誤った作業手順・母材の汚染 に大別される。

  • 不適切な溶接条件
  • 電流・電圧、溶接速度の不適切な設定、劣悪な作業環境

  • 誤った作業手順
  • アース不良、プログラムの選択ミス

  • 母材の汚染
  • 油分、水分、サビなどの付着

溶接条件、作業手順は工程管理や適切な教育で大半が予防可能であるが、母材の汚染は材料メーカーの違い、天候、ロット差、保管期間、輸送経路など様々な要因が絡み合っており完全な管理は難しい。

一定以上の溶接スパッタをNGとする企業も存在するため、溶接品質の向上と安定化は喫緊の課題である。

3.プラズマ処理の効果

プラズマ処理前後のFT-IR測定結果

プラズマ処理前後のFT-IR測定結果

上図はプラズマ処理前後の試料表面をFT-IRで測定した結果である。

プラズマ処理前のサンプルは3000cm-1付近に有機物特有のピークがみられ、500~1750cm-1にも多くのピークが確認されるが、プラズマ処理後のサンプルではピークが消失し油分が除去されていることを確認できる。

試料表面に油分等の有機物が残留していると、溶接時の高温により急激に熱膨張する。溶融池内でこれが発生すると、溶融金属が飛散し溶接スパッタが生じることが知られている。これはピットやブローホールの原因となり、溶接品質に大きな影響を及ぼす。

大気圧プラズマ処理により表面の有機物を事前に除去することで、これらの不具合を大きく低減することが可能である。

4.まとめ

Tough Plasmaによるドライクリーニングは試料表面の油分を除去することで溶接品質を向上させるのに非常に有効であり、既に多くの量産工程で導入が進んでいる。

大気圧下の処理であるため既存工程への導入も容易であり、洗浄工程の簡素化・削減によるコストメリットも見込まれる技術である。

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